開業は全額自己資金ですべきなのか?

結論から先にいってしまうと…

私は『補助輪』も『他の人の助け』も、どちらも『アリ!』だと思っています。
どんなに綿密に脳内シュミレーションしても、それだけではいつまで経っても乗ることは出来ません。

って、自転車の話じゃなかったですね(^^;
気を取り直して、昨夜の出来事から…

相談があるので今から出てこられないか

昨日の夜19時過ぎ、友人から相談があるからといって連絡がありました。

日曜の夜に「相談がある…」なんて連絡をよこすとは何事かと思って会ってみると、「コロナも落ち着きそうな気配なので飲食店を開業しようと思うがどうだろう?」という相談。

てっきり家庭内のもめ事かと思って心配していたので、ちょっと拍子抜け。

そもそも、話の内容からすると、自分の中ではすでにやると決めて色々と準備もしているようで、それでもちょっと落ち着かないところがあるので、誰かに背中を押してもらいたいという事らしい。

また、真の悩みは飲食店をやるかやらないかではなく、始めるにあたって全て貯蓄で賄うか一部借り入れをするかという点にあるような感じでした。

昨夜は、本人はすでにやる気満々で活き活きとしていたこともあって、開業に関しては無責任に全力で背中を押してやりました。

借り入れについては、私には何とも言えないので自分で決断するように伝えましたが……

返済実績は大きな人的担保になる

飲食店に限ったことではないのかもしれませんが、開業にあたって全て自己資金ならそれに越したことはありません。しかし私の個人的な考えとしては全額自己資金である必要はないし、むしろある程度の借り入れがあった方がうまく行くケースが多いように感じます。

借金もなく安心で楽な経営をしていると、自分の都合で店を休んだり利益を無視したサービス(戦略的なものなら良いのですが)に走ったりということが起こりがちです。

こう書くと、「自分はこの商売にすべてを賭けているので、そんなことは絶対にありえない」という方も多いと思いますが、人の決意というものは、思っているほど強くはないというのが現実です。どんな状況に置かれていても、どこかでサポタージュの気持ちを持っているのが普通じゃないでしょうか?

「あ~、もういっか」と思ったときに、背中を支えてくれるのは先の夢や希望よりも、今の危機感というのが現実だったりするものです。

それともう一つ「ある程度の借り入れがあった方が良い」理由として、金融機関に対する実績を作っておくということがあります。

「担保が無ければお金は貸さない」というのが金融機関のセオリーのように言われていて、それは今でも確かに間違ってはないのですが、過去の借り入れ(正確には返済の)実績というものも重要な要素になります。

お店が軌道に乗り2号店の出店を考えたり、現在のお店をリニューアルしたい等々、開業時には全て自己資金で賄うことが出来たとしても、将来的に金融機関を頼るケースも出てくるでしょうから、計画的な借り入れを着実に返済して行くという実績を残しておくことで信用という最も価値のある資産を蓄えておくことが出来ます。

制約があるからこそアイデアが出てくる

余裕のある元手でスタートした場合と、ある程度の借金を背負ってスタートした場合、前者の方が有利で成功する確率が高いかといえば、そうとは限りません。

限られた条件だからこそ工夫が生まれますし、それが商売の醍醐味ともいえます。資金に余裕があれば、いろいろなことができます。制約があれば、知恵を出すしかないんですね。考え抜く癖をつけることができます。それがノウハウとして積み上がってきます。

資金はないよりあった方がいいのは事実ですが、資金が足りずに借金をすることが悪であると考えたりマイナスに捉える必要はないように思います。

最大のリスクはリスクを取らないこと

誤解してほしくないのですが、決して借り入れを推奨しているわけでもありませんし、開業にあたり全額借入金で賄おうというのは無謀としかいえないのですが、開業後の生活を含め「なにもかも完全に安心できる環境が整うまで待つ」というのでは、いつまで経っても夢は実現しないと思うのです。

因みに、分譲マンションのチラシに「自己資金ゼロから…」などという広告文を見かけますが、民間の金融機関に限らず公庫でも自己資金ゼロで開業資金を借入れることは出来ません。

また、同じ自己資金でも遺産や退職金といった一時金で用意されたものより、毎月定期的に預貯金して蓄えた(通帳で確認されます)方が融資が通りやすいのは事実です。

Facebookの共同創設者であるマーク・ザッカーバーグは

「最大のリスクはリスクを取らないことである」といっています。

また、

「失敗することが確実な唯一の戦略はリスクを取らないことだ」ともいっています。

成功するにはタイミングと決断が大事

考えているだけで行動に移さなければ結果は出ません。
行動には失敗もありますが、何もしなければ失敗は無いのか?というと、決してそんなことは無いのが今の世の中です。

考えや準備なしに行動するのは論外ですが、ある程度の準備が出来たら思い切って勝負に出る!という決断も経営者には必要なことだと思います。