「エンディングノート作成時の参考」に、なるかもしれない?

デジタル庁

マイナンバーカードへの対応などをはじめ、何かとやり玉に挙げられることの多いデジタル庁ですが、『死亡・相続ワンストップサービス』なんていうのも推進しています。

まぁ、よほどデジタル庁への興味があってホームページを隅々まで見ているという人以外、知っている人は少ないでしょうね。

具体的にどんなことをしているのかというと、年間死亡者数の増加傾向にあたり、相続人や行政機関の負担軽減に向けた取組として、以下の3点を目指しているようです。

  1. 死亡・相続に関する行政手続を見直し、遺族が行う手続を削減
  2. 故人の生前情報をデジタル化し、死後、信頼できる第三者により相続人であることをオンラインで認証された遺族が、当該情報を死亡・相続の手続に活用できるようにする
  3. 死亡・相続に関する手続の総合窓口について、地方公共団体が精神的・経済的に支えを失った遺族に必要な支援を行う。
『政府CIOポータル』より引用

全体像は以下のようなイメージ。

死亡・相続ワンストップサービスの全体像(図解)
『政府CIOポータル』より引用

すでに、『デジタル遺言制度』の創設を見据えて新たなサービスを検討している企業もあるようなので、今後に期待というところです。

いずれにしてもモノになるのは多分ズーッと先のことでしょうから、上記のイメージは軽く「へぇ~」という程度ですが、『政府CIOポータル』というサイト内で、エンディングノートをデジタルデータ化する際の項目について、エンディングノートをサービス提供している事業者へのヒヤリングを基に取りまとめたデータ(データ標準α)を公開しています。

このデータから、エンディングノートに必要な項目にはどのようなものがるのか?ということもわかるのですが、項目数が1700を超えているため、これをもとに今すぐエンディングノートを作成しようといったような用途には向いていませんが、「エンディングノートには何を書いたら良いか」と悩まれている方にとっては何らかの参考になるかもしれません。

興味のある方は、政府CIOポータルの「死亡・相続ワンストップサービス関連資料」にある「データ標準α」というエクセルファイルをダウンロードしてみてください。

エンディングノートアプリ

エンディングノートをデジタルで残したい場合、現状でも無料で使えるものから有料のものまでいくつかあります。

これらのアプリはタイプ別に2種類に分けることができ、一つは最終的に紙として出力することを前提としたいわゆるテンプレート(年賀状作成ソフトのようなイメージ)で、もう一つはデジタルデータとして保存し編集も閲覧もデジタルで行うことをメインとしたタイプで、こちらはスマホアプリに多くみられます。

民間の終活支援会社が提供しているものもありますが、エンディングノートというとかなりセンシティブな内容もあるでしょうから、あまりわけのわからない会社が提供しているアプリを使うというのも気が進みません。

「銀行といえども信じられない」という時代かもしれませんが、それでも一応「終活支援を謳ったよく知らない民間企業や団体」よりは安心ということで、金融機関が提供しているものを2つ紹介しておきます。

三井住友銀行「SMBCデジタルセーフティボックス

三菱UFJ信託銀行「我が家ノート by MFUG

とはいえ、デジタルの利点でもある一方、目に見える「モノ」としての実態がないことから、現時点でアプリやクラウド上のサービスを利用したエンディングノートは、それ自体がデジタル遺産として相続人にとって悩ましい遺産になってしまう可能性もあるような気がします。

SMBCデジタルセーフティーボックスの説明サイトでは「デジタル遺産の対応もできるとの評価を得ている。」としていますが、2021年10月に開始されたサービスですから、評価というのはあくまでサービスの利用者(エンディングノートを作成した人)のもので、実際に相続手続きを行った相続人ではないでしょう?