遺言書が二通出てきたら?

「遺言書が複数存在した」というのは決して珍しい話ではありません。

そもそも、遺言書は生きている間はいつでも変更する(書き換える)ことができるわけですから、極端な話毎日新しい遺言書を書いたってい良いわけです。

複数の遺言書が存在した場合に問題となるのは、いったいどの遺言書が有効なのか?という点です。

場合によっては、複数の遺言書をめぐって争いが始まってしまうということもあります。

この際によくある勘違いとして、『公正証書遺言』と『自筆の遺言書』では『公正証書遺言』が正式なものなので、こちらが有効だと思っている方もいるようですが、遺言書の形式による遺言内容に優劣はありません。

ただ、自筆遺言の場合は形式的不備があって遺言書自体が無効になってしまう可能性はあります。

自筆遺言であっても形式的な不備がなければ、公正証書遺言に劣後するということはなく、作成日付の新しいほうが有効ということになります。

古い遺言は無効になるのか?

複数の遺言書が残された場合、作成日付の新しいものが有効になるといっても、古い遺言書が全て無効になるわけではありません

重複する内容に関しては作成日付の新しいものが有効になるということです。

例えば、古い方の遺言書に『自宅は妻に、預金は長男に…』とあり、新しい遺言書に『預金は長男と次男に…』とあった場合、古い遺言書にある『自宅は妻に…』の部分は有効なまま『預金』についての部分のみ長男だけから長男と次男に変更されたものが有効になるということです。

もし、古い遺言書の内容を全て白紙にしたいのであれば、新しい遺言書で『古い遺言書は無効である』旨を記しておく必要があります。