相続財産を把握する
相続手続きを一言で言うと、「故人の財産をどのように引き継ぐか」という手続きになります。
そして、「どのように」とは、以下の3点を決めることです。
- 何を…
- 誰が…
- どのような割合で…
この内の「1.何を…」を決めるために必要な手続きが「相続財産を把握する」ということになります。
相続財産とは
相続財産とは、基本的には故人が所有していた財産すべてのことですが、注意しなければならないのは負債(借金等)も財産になるという点です。
一般的ものとして、現金、預貯金、不動産、証券、車、貴金属などがプラスの財産で、借金、住宅ローン、買掛金、損害賠償債務、未払家賃などがマイナスの財産となります。
※こちらの記事もご覧ください➡「マイナス遺産(借金)も相続するよ!」
尚、一身専属権は相続財産になりません。ちょっと難しい言葉ですが「一身専属権」とは、権利又は義務が特定人に専属し他の者に移転しない性質のことで、扶養請求権、離婚請求権、認知請求権、代理権、生活保護受給権、年金受給権などといったものになります。
また、生命保険についても、保険金は受取人固有の財産となるので、ここでいう相続財産に加える必要はありません。(ただし、受取人が故人自身であった場合は含まれます)
相続財産目録を作る
前述したとおり、相続財産にはプラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれるので、これらが一目で確認できる一覧表を作成します。
特に決まった書式があるわけではないので、何が幾らあるのかが分かる一覧表であればどんなものでもかまいません。
財産目録自体は遺言執行者に選任された場合を除いて、相続手続きを行う上での義務ではありませんが、相続放棄の判断や遺産分割協議をスムーズにすすめるためにも必須です。
目録に記載する金額
目録に記載する具体的な金額については、以下に示す4つに大別できます。
- 現預金
- 金融商品
- 不動産
- 動産
1、2については特に大きな問題になることは無いと思いますが、3、4については実際に今換金したら幾らになるのかという実勢価格で評価することになるので、ものによっては流通性の問題(換金に手間や時間がかかってしまう)や、そのモノに対する相続人の事情や想い(特定の相続人の住宅事情や、価値の高低でなく形見としてのそのモノ自体を傍に置きたい等)も絡んでくるので、現金や金融商品のようにスパッと行かない場合もあるかと思います。
不動産や鑑定書のある貴金属、美術骨董品であれば、ある程度の実勢価格もつかめますが、それでも見積金額について後々相続人間で揉めることもあるので、具体的な金額は相続人同士で合意しておくことが必要です。
マイナス財産の調査
マイナス財産は、住宅ローンや車のローンなどわかりやすいものだけとも限りません。クレジットカードや銀行の通帳に記載された引落先などを確認しましょう。
また、借金がありそうだとわかっていたけど、具体的にどこから借り入れしていたのか不明といった場合には、信用情報センターに問い合わせてみる(開示請求をする)といった方法があります。
信用情報センターには以下のつがあります。
- JICC(日本信用情報機構):消費者金融系
- CIC(シー・アイ・シー):クレジット系
- KSC(全国銀行個人信用情報センター):銀行系
具体的な照会方法については、上記の「センター名 開示請求」というキーワードで検索し、それぞれのセンターの案内に沿って手続きを進めてください。