相続手続きには戸籍が必要

戸籍謄本

被相続人(亡くなった方)の預貯金を相続により受け取るために必要となる手続きでは、以下の2つの理由から被相続人と相続人の戸籍謄本が必要となります。

  1. 預貯金を受け取る人が被相続人の相続人であるかの確認
  2. 預貯金の受け取りが相続人全員の意志であるかの確認

誰の戸籍が必要になるか?

手続きに必要となるのは、前述した『相続手続きに戸籍が必要となる2つの理由』を証明できる範囲の戸籍という事になりますが、誰の戸籍をどの範囲まで揃えなければならないかは個々の事情によって異なってくるので、ある程度法定相続に関する知識が無いと難しいところがあります。

例として、被相続人の兄弟姉妹が相続人となるようなケースでは、兄弟姉妹であることを証明するため被相続人の親の戸籍も必要になりますし、兄弟姉妹の中に亡くなられている方がいて代襲相続が発生していると、兄弟姉妹とその子の戸籍まで必要になってきます。

戸籍なんて最寄りの役所へ行けばすぐにもらえるだろうと考えていたところ、何度も役所へ足を運んだり、郵送で請求したところ、役所から電話があり色々と確認されたものの、役所の言っている意味がよくわからず大変な苦労をすることもあります。

また、被相続人の戸籍についても出生から死亡までという連続した戸籍が必要となり、戸籍を読む知識と慣れが必要になってきます。

遺言書が無い場合、金融機関の手続きで指摘され出直しとなるケースで多いのが戸籍の不足なので、この部分だけでも専門家に依頼するという手もあります。

戸籍謄本と戸籍抄本の違い

戸籍謄本とは戸籍の原本全部を写したもので、戸籍抄本は請求された特定の個人だけが記載された写しのことです。

相続手続きで必要となる戸籍は、被相続人と相続人との関係を示す必要があるので、取得に当たっては必ず『戸籍謄本』を請求する必要があります。

尚、コンピュータ化された以降は『戸籍謄本=全部事項証明書』、『戸籍抄本=個人事項証明書』といいます。

改正原戸籍とは?

先ず、戸籍の『改正』とは、戸籍の様式が法律等により改められた場合に、従前の様式の戸籍を新たな様式に改められることを言います。

例として、コンピュータ化によって改正された新しい戸籍には「平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改正」という文言が改正日と共に改正事由として戸籍のどこかに記載されています。

ここで問題となるのが、改正の時点ですでに除籍されている者(改正前に結婚した子供等)は改正後の新しい戸籍には記載されないという点です。そのため、相続手続きで使用する場合、改正後の戸籍謄本だけでは必要な情報が欠落していることがあるため改正前の『改正原戸籍』も必要となります。