相続した預金口座はいつ凍結される?

詐欺メールに困惑する男性

今朝方、私のスマートホンに以下のようなショートメールが届きました。

銀行騙った詐欺メール
送信元の電話番号もメッセージ内のURLも敢えて晒しています。

確かに私は「三菱UFJ銀行」に口座を所有していますが、銀行からSMSでこのような通知が来ることはありえないのですぐに詐欺メールだと判断して削除しましたが、仮にちょうど相続が発生したタイミングで故人のスマホにこのような通知があったら、遺族の立場としてはついクリックしてしまうということもあるのではないでしょうか。

普段であれば、「こんな詐欺メールにはひっかからない」という方でも、大切な人を亡くしその悲しも癒えない中、初めて経験する相続手続きで疲労困憊しているような状態では冷静な判断を欠いて「つい…」ということも十分に考えられるような気がします。

先日、神奈川県警生活安全課の方のお話を聞く機会があったのですが、神奈川県における特殊詐欺(オレオレ詐欺等)の被害額は、既に30億円を超えており前年同月を上回っているそうです。

特殊詐欺についてはメディアでも度々取り上げられ、今では誰もが気にかけていると思うのですが、それでもこれだけの被害が出ているのが現実で「自分だけは絶対に騙されない!」という過信は禁物だということを、改めて思い知らされました。

誰でも、「冷静な判断ができない隙はある」ということを自覚しておきましょう。

死亡後すぐに凍結されるわけではない!

金融機関の「口座名義人が死亡すると、その口座は凍結されてしまう」という話はよく見聞きするので知っている人も多いと思いますが、どのタイミングで凍結されるのかはよくわからないという人もいるのではないでしょうか。

この「口座名義人が死亡すると、その口座は凍結されてしまう」という話は、半分正解で半分は不正解です。

正しくは、「口座名義人が死亡したことを金融機関が知った場合には、その口座は凍結されてしまう」ということです。そして、金融機関は自行の口座名義人が死亡したことを知ったからといって、その情報を他の金融機関へも知らせてあげるなどということはしていません。

つまり、A銀行で口座が凍結されていても、B銀行ではATMから引き出せるということです。

金融機関はどうやって死亡の事実を知るのか?

一般的には、殆どの場合遺族が金融機関へ連絡することによって知ることになります。つまり、こちら(遺族等)から言わない限り、勝手に口座が凍結されるというようなことはまずありえないと考えて良いでしょう。

亡くなられた方が著名人で、テレビや新聞で訃報が報道されたような場合や、たまたま隣りに住んでいる人が金融機関に勤めていて口座のあることを知っていた場合は、その金融機関の判断で凍結される可能性はありますが。

よくある誤解として、前述したように「金融機関同士が連携して情報を共有している」とか、「死亡診断書を作成すると医療機関から連絡が行く」「死亡届を出すと役所から連絡が行く」といったことはありません。

連絡ぜずATMで引き出したら、金融機関から訴えられる?警察に通報される?

結論から言ってしまうと、特別な場合を除いて直ちにそのようなことはないでしょう。

銀行が口座を凍結する理由は、端的に言ってしまうと「死亡後に預金の引き出しに応じてしまう(ATMでの引き出しを含め)と、他の相続人から責任を追求されて二重に払い戻す事態になってしまう(金融機関が損をする)可能性もあるので、それをことを避けるためというのが本音です。「信義に基づいて…」などいった理由では有りませんから、自分(金融機関)に火の粉(遺族から責任を追求されたり)が降り掛かってこなければ、金融機関側が自ら面倒な手続きを踏むことはありません。

なお、一応念のために言っておきますが…
「だから黙ってATMで引き出しちゃえばいいんだよ」ということをお伝えしているわけではありませんので、その点は誤解なきように(^^;

そもそも、たとえ口座名義人が生存中であっても他人(ここで言う他人とは名義人以外ということで親族も含まれます)のキャッシュカードを使って引き出す行為は犯罪(になり得る)ですから…