『法定相続情報証明制度』とは?
『法定相続情報証明制度』は、法務省民事局資料よると、以下のように説明されています。
『法定相続情報証明制度』とは、相続人が法務局(登記所)に必要な書類を提出し、登記官が内容を確認したうえで、法定相続人が誰であるのかを登記官が証明する制度です。
この制度を利用することにより、相続登記、相続人名義の預金の払戻や相続税の申告など、各種手続きで戸籍類一式の提出の省略が可能となります。
※法務省資料より
要するに、これまでは相続人が誰であるか証明するため、各機関それぞれに戸籍類一式を提出しなければならなかったけど、それだと手間も時間もかかるので「法務局が各機関を代表して確認して証明しますよ」ということです。
制度利用の流れ
- 戸除籍謄本等を収集
- 法定相続情報一覧図を作成
- 申出書を作成し、上記1.2の書類を添えて申出る
- 登記官が内容を確認し、法定情報一覧図を保管
- 認証文付き法定相続情報一覧図の写しの交付を受ける
- 戸除籍謄本等の返却を受ける
一覧図の写しを取得するメリット
- 各種相続手続きに際し、被相続人と相続人の関係を証明するために、被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本等一式の束の提出を求められますが、『認証文付き法定相続情報一覧図の写し』で代用出来ます。
- 通常は戸除籍謄本等一式の原本は1セットしかないので、複数の手続きを進める場合は原本を使いまわすことになってしまいますが、認証文付き法定相続情報一覧図の写しは複数枚の交付を受けることが出来る(しかも無料)ので、複数の手続きを同時に進めることが可能になります。
- 金融機関の手続きで戸除籍謄本等一式の束を出した場合、想像を絶するほどの待ち時間を強いられることがままあります(職員が戸除籍謄本等の内容を一つ一つ確認し全てをコピーするのですから、仕方がないでしょうけど…)が、『認証文付き法定相続情報一覧図の写し』を提出することで、待ち時間の短縮が期待できます(金融機関によりますが…)。
- 遠方にいる相続人間で戸除籍謄本等一式の束を使いまわす場合、郵送での受け渡しによる手間と時間を要するだけでなく、やり取りの中で戸除籍謄本等の一部を紛失(相続人の一人が抜いてしまう)するというリスクもありますが、そうしたリスクや手間と時間も回避することができます。
- 後日追加一覧図の写しが必要になった場合も、登記所に5年間保管されているので、この間であれば再交付の申し出ができます。(但し、この間に相続人の変動があった場合は使用できません)
制度を利用するメリットのないケース
必要な手続きが一ヶ所のみという場合にはさほど大きなメリットは見込めません。
といっても、相続開始時にはみつからなかった預貯金通帳が出てきたとか、ネット証券に口座があることがわかった…等というのはよくある話です。
金融機関によって対応が違う場合も…
法定相続情報証明制度は、2017(平成29)年5月29日より開始された制度ですが、開始直後は金融機関の窓口担当者の知識不足もあって受け付けてもらえないこともあったようですが、今では殆どの金融機関が「原則、戸除籍謄本等一式に代えて認証文付き法定相続情報一覧図の写しでかまわない」と表明しています。
しかしここで注意が必要なのは、あくまで「原則」としている点で、預貯金額が高額であったり、相続関係が複雑な場合は戸除籍謄本等一式を要求される場合もあり得ます。
この辺りは金融機関毎に対応が異なるので、手続をする金融機関それぞれに個別に確認しておく必要があります。