全く交流のない異母兄弟のいる遺産分割協議
父親がなくなり相続が発生したが、父には離婚歴があり前妻との間に(認知された)子供もいたが、全く交流が無い場合、遺産分割協議はどうしたらよいでしょう?
父自身も離婚後は前妻はもとより子供とも一切連絡は取っていなかったようで電話番号も住所も分からず連絡の取りようもないうえ、父が残した遺産も全て離婚後に今の母と築いたものなので、自分たちだけで決めてしまっても問題ないですよね。
日本の離婚率は35%前後で、3組に1組が離婚しているということらしいので、このようなケースも珍しくないと思います。
前妻の子も相続人です
さて、こうしたケースの場合、遺産分割の協議を自分たちだけで済ませてしまうことは可能ですが、その協議結果を書面にして実際の相続手続きに使用するには、相続人全員の同意が必要であり、その証として全員の署名と押印、印鑑証明が必要になります。
ここでいう相続人全員の中には、前妻との間の子供も含まれています。結果として、前妻の子に一切連絡を取らず自分たちだけで協議し作成した遺産分割協議書では実際に不動産の名義変更や金融機関での預貯金の払い戻しといった相続手続きを行うことは出来ません。
なお、別れた前妻は現在の戸籍上の配偶者ではないので、相続人にはなりませんから連絡は不要ですし同意を得る必要もありません。(といっても、前妻の子が未成年の場合はそうもいきませんが…)
電話番号も住所も分からず連絡のしようがないということですが、「連絡先がわからない」といった理由で、この前妻の子の同意が不要となるようなものでもありません。
そもそも、相続手続きを行うに当たっては父の出生から死亡までの連続した戸籍の提出を求められ、だれが相続人なのかを確認されることになります。
連絡先はどう調べるの?
先ずは、祖父母(父の親)が存命であれば祖父母に、すでに亡くなっているようであれば、叔父叔母(父の兄弟姉妹)といった、事情を知っている親戚にあたってみることで連絡先がわかる可能性があります。また、直接連絡先がわからない場合でも昔の郵便物など手がかりになるものがあるかもしれません。
それでも判明しないようであれば、戸籍の附票を取得します。戸籍の附票は本籍地へ請求するものなので、住所がわからない場合でも父の戸籍類から、前妻の子の本籍も追うことができます。
前妻の子へも遺産を渡さなければいけないの?
法的には、前妻の子も自分たち(現在の家族の子)と同一割合で遺産を受け取る権利があります。
今回のケースように、かなり前に離婚しその後も一切連絡も取っておらず、父の資産形成にも関与していなかったというケースでは現在の家族にしてみれば心情的に納得のいかないこともあるかもしれませんが、何れにしても具体的な相続手続きを進めるためには、前妻の子にも遺産分割協議の場に就いてもらうことが必要となってしまいます。
ただ、権利があるということと実際に受け取るかどうかは別の問題なので、前妻の子が「自分はいらなにのでそちらで話し合って決めてください」ということで、遺産分割協議書に署名してくれるのであれば、それで何ら問題はありません。