なるべくなら避けた方が良い遺言内容2つ
遺言書の作成にあたり、財産をどのように分けるかは遺言者の自由なのですが、後々のことを考えると、できれば避けた方が良い内容というものもあります。
個々の状況によって異なるので、一概には言えないところもありますが、次の2点については、できれば他の代替え案により回避しておいた方が無難です。
1.不動産を複数の相続人の共有にする
現金や預貯金と違って、不動産は原則物理的に切り離して分けることができないため、相続人へ均等に分けるため共有名義として相続しようと考えるケースがあります。
具体的な遺言内容としては、
第1条
自宅の土地建物は、それぞれ長男、長女、次男に各3分の1づつ相続させる
といったようなもので、勿論このような分け方で相続させることも可能ですし、公平で平等な分け方になりますので、その場では相続人間で争いになることもないでしょう。
しかし、共有名義の不動産は、売却時には原則全員の同意が必要となり、共有者の一人でも反対すると話が前に進まないといった事態になってしまいます。相続の時には争いもなく関係性も良かったものの、それぞれ環境の変化もあって兄弟姉妹であっても、意見を合わせることは年を重ねる毎に難しくなっていくのが現実です。
また、相続したうちの一人が亡くなりその相続人が複数人いた場合は、さらに共有者が増えることになり、権利関係が複雑化して行きます。共有名義の権利関係が複雑化していくと、それに伴い関係性は希薄になっていき、話し合いをスムーズに進め、全員の同意を得ることなどは、不可能に近い話となってくることも稀ではありません。
2.相続分を指定した遺言
相続分の指定とは、例えば
第1条
遺言者の全財産は、長男、長女、次男に各3分の1づつ相続させる
といった内容の遺言で、具体的にどの財産を誰が取得するかはっきりしていないため、遺言書があったとしても別途遺産分割協議が必要になってきますし、誰がどの財産を取得するかという点で分割協議が紛糾する恐れもあります。
自筆遺言書などでは、前述ような書き方にすることで手書きする負担を少なくすることができますが、せっかく遺言書を残すのであれば、後々のことを考え全財産を個別具体的に特定して相続や遺贈する旨の遺言書を作成しておきましょう。