「これダメ!」遺言書を書かない3つの理由
遺言書の作成を検討されてみてはどうかとご提案させていただいた際に、もっとも多い反応が以下の3つです。
- わが家にはモメるほどの財産がないから大丈夫
- わが家は家族仲がいいから大丈夫
- まだまだ元気だから、もっと年をとってから考える
わが家にはモメるほどの財産がないから大丈夫
このブログでも以前『争族の火種は資産金額の多寡ではない』という記事に書きましたが、相続でもめてしまうのは億を超えるような資産家の話ではなく、むしろ一般的な家庭が8割だという事実を認識しておく必要があります。また、財産の額がいくらであろうと相続手続きが必要なことには変わりはありません。
「子供たちに迷惑かけたくないので、せめて自分の葬式代だけは預金している」とおっしゃる方が多くいらっしゃいますが、たとえ子供であっても相続手続きを経なければ、せっかく残した預金も引き出すことが出来ないのです。
こうした相続手続きをスムーズにすすめられるように配慮することも、預金残高を残すのと同じように大切なのです。
わが家は家族仲がいいから大丈夫
たしかに、今は家族仲がいいかもしれませんが、それは今の家族構成(メンバー)の状態でのことです。
相続が開始されるといううことは、メンバーの中にすでに遺言者は入っていません。更に、メンバーの婚姻や出産などで新たな家族が増えているかもしれません。そのように今とは違ったメンバーでも今と同じように仲のいい状態が保てているかは未知数です。
子供自身はモメる気はなくとも、その配偶者やその親族のヨコヤリでモメることになってしまい、最終的には子供自身も感情的になって泥沼状態に…というのもよくあるパターンです。(とかく外野がアレコレ言うことが多いものです)
せめて遺言書があれば、子供も第三者のヨコヤリに惑わされず、遺言者の意思を尊重できたかもしれません。
まだまだ元気だから、もっと年をとったら考える
これはもう理由や言い訳になっていません。こういう人はおそらく、最後まで遺言書をつくる決心が付けられず、そのまま亡くなってしまう可能性が高いのではないでしょうか。
誰もが分かっているはずのことなのですが、人間いつ死ぬかわからないという現実から目を逸らしているのです。
また、たとえ死が訪れるようなことは無くとも、身体が不自由になったり判断能力に問題が出たりして遺言書がつくれなくなる可能性もあります。
遺言書をつくるのに早すぎるということはありません。
最後にもう一つの理由についても…
ときどきいらっしゃるのですが、「遺言書なんか書いたら、自分の財産を自由に使えなくなってしまうので、今はまだ書かない」という人です。
しかし、たとえ遺言書に「△□〇銀行の預金は××に相続させる」と書いたとしても、それで△□〇銀行の預金が自由に引き出せなくなるわけではありません。ここでいう”預金”とは死亡時点で残された預金残高のことなので、生前にいくら引き出して使おうと自由です。
まとめ
遺言にはどこか縁起でもないといった後ろ向きなイメージを持つ方もいらっしゃいますが、決してそんなことはなく、これからの人生を安心してを明るく生きるための強力なツールです。
生命保険も同じく人の死に対する備えですが、生命保険に加入することに縁起が悪いというイメージを持つ方も今はいないと思います。
日本は生命保険の世帯加入率が90%を超えているらしいのですが、遺言書を残している人はまだまだ少ないように思います。
相続には大なり小なり予期せぬ事態(トラブル)がつきものです。いざトラブルに直面したとき、困るのは他でもない、あなたの身近にいる大切な人たちです。
財産の多少に関係なく、相続開始時は今のメンバーとは異なることを考慮して、心身ともに元気なうちに遺言書を作成しておきましょう!