配偶者の連れ子と養子縁組した後、その配偶者と離婚した場合

令和4年度内閣府男女共同参画局のデータによると、未成年の子どもがいる離婚件数は、全体の約6割を占めていて、婚姻の約4件に1件が再婚となっています。こうしたデータからも、連れ子を伴っての婚姻というのも少なくないと思われます。
子どものいる夫婦が離婚した場合、元配偶者は相続人でなくなりますが、子どもは離婚後のどちらが親権者になったとしても相続人のままです。
これは配偶者の連れ子と養子縁組をした場合も同様で、実子ではなく配偶者の連れ子だからといって、配偶者と離婚したことをもって直ちに連れ子との縁も切れるわけではありません。
離婚と離縁は別
婚姻と養子縁組は別の法律行為ですから、離婚により配偶者との関係が解消したからといって、それに連動して養子縁組も解消されるということはなく、夫婦関係を解消する「離婚手続き」とは別に養子縁組を解消する「離縁手続き」を行わない限り、連れ子は相続人のままですし、子どもが幼ければ養育義務も発生します。
婚姻時に相手に連れ子があって婚姻と同時に連れ子と養子縁組をした場合、離婚すれば養子縁組も解消されると勘違いしないよう注意が必要です。

【ここポイント】
離婚をしただけでは、養親子関係が解消されることはなく、継続したままとなる。
離婚で解消されるのは夫婦関係のみ。
離婚原因や、縁組期間など、個々の事情によって考え方も異なってくるとは思いますが、将来的に自身が再婚し再婚相手との間に子どもがいる状態で死亡した場合、現配偶者と子どもがいればその子に加え、養子縁組した元配偶者の連れ子も相続人となることを考慮し、離婚と同時に養子縁組をどうするかもしっかりと考え対処しておくことが必要です。
養子縁組を解消するには
養親子関係を解消するためには、離婚とは別に「離縁」という手続きが必要になります。
この手続は離婚手続と同様、当事者(養親と養子)同士が合意したうえで離縁届を役所に提出することで行いますが、養子が15歳未満の場合は法定代理人(親権者)と合意することになります。
当事者同士で合意に至らない場合、家庭裁判所へ調停を申し立てることになりますが、調停というのは、あくまで話し合いの場ですから相手方が最後まで離縁を拒むような場合、最終的には裁判ということになってしまいます。
この場合、単に「配偶者の連れ子で、配偶者と離婚したから」 というだけでは離縁を認めてもらえないケースもあるようなので、当事者同士でどうしても合意できない場合は弁護士に相談した方が良いかもしれません。