異母兄弟が相続人となる場合

異母兄弟がいる場合の相続には以下の2パターンがあります。
- 自分が亡くなり、異母兄弟が相続人となる場合
- 親が亡くなり、自分と異母兄弟が相続人となる場合
自分が亡くなった場合
自分の財産を異母兄弟が相続するケースは、自分が独身であるか、又は結婚はしているが子どもがなく、両親や祖父母も既に亡くなっているという場合に限られます。
相続(法定)には順位があり、配偶者=常に相続人 ⇛ 第1順位:子ども ⇛ 第2順位:親、祖父母 ⇛ 第3順位:兄弟姉妹となっていますので、第2順位までの相続人が誰もいないケースということです。
異母兄弟の相続分は、父母を同じくする兄弟の1/2となりますので、相続財産が1500万円で、両親を同じくする兄弟が1人、異母兄弟が1人いる場合、法定相続分は以下のようになります。
両親を同じくする兄弟 | 1000万円 |
両親の一方を異にする兄弟 | 500万円 |
※それぞれに複数人いる場合は、上記の金額をそれぞれの人数分で按分します。

【ちょっと注意】
2013年に非嫡出子の相続割合に関する法律が改正され、これまで非嫡出子は嫡出子の1/2という相続割合が、非嫡出子も嫡出子と同じ割合で相続できるようになりましたが、これはあくまで”非嫡出子”の話しであって、被相続人の兄弟姉妹として相続人になるケースでの「父母を同じくする兄弟姉妹の1/2」は変わっていません。ここ混同して勘違いされている方が時折おられるので…
※非嫡出子とは、結婚していない男女の間に生まれた子供のことです。
異母兄弟に全財産を渡すのはちょっと…
両親のどちらかが前婚での子どもを連れて再婚した後に自分が生まれ、幼い頃から生活を共にしていたという場合はともかく、そうでない場合「異母兄弟に財産を残すことには抵抗がある」という方もいます。
親の葬式で会っただけでそれまで一切交流は無かったというケースや、親の死後まで異母兄弟がいたことさえ知らなかったという場合には、感情的にも「自分の財産を相続させたくない」と思うこともあるでしょう。そのような場合、遺言書を作成しておく必要があります。
尚、兄弟姉妹には遺留分は認められていないので、遺留分を請求されるといった心配はありません。
親が亡くなった場合
自分の相続人が兄弟姉妹しかいないという場合と違い、子どもとして親の相続人となる場合の兄弟姉妹には、父母を共通とする兄弟姉妹だけでなく、父又は母の片方が共通である場合も含まれるので、亡くなった親(父又は母)を同じくした異母兄弟がいる場合には、その異母兄弟も相続人となり相続割合も同じとなります。
ただし、子どもとして相続人となるのは原則(養子縁組をしていれば別)血縁関係のある子どもになりますので、例えば父親が亡くなり母親に離婚歴があって「A」という子どもがいたとしても、父親と「A」とは血縁関係にないため、異父兄弟として「A」が相続人となることはありません。
もっとも、母親が相続した財産については、その後母親が亡くなった場合、その時点で自分と「A」は同割合で相続人となるため、最終的には父親の財産を母親を経由して「A」が相続するということになります。
例えば、自宅が父親名義の持ち家で父親がなくなった後、自宅を母親が相続し母親と自分がその家で暮らしていた場合、母親が亡くなると自宅は自分と「A」が同割合で相続することになります。自宅不動産の他にまとまった預貯金などがあれば「A」には預貯金を渡し、自宅は自分が相続するといった話し合いも可能かもしれませんが、不動作以外に他にこれといった財産がなければ、住み慣れた自宅を売却しなければならない可能性もあります。
主な相続財産が不動産だけという場合は、実の兄弟(全血兄弟※)でも話し合いがこじれるケースが多いことを考えると、父親の遺産相続の段階で配偶者居住権を設定したうえで自分名義で登記しておく等といった対策を立てておくことが必要かもしれません。
※両親を同じくする兄弟姉妹を全血兄弟、どちらか片方が同じ兄弟姉妹を半血兄弟といいます。