投資信託を相続させる遺言書
新NISAが開始されたことをキッカケに今年から投資信託を始められたという方も多いと思いますが、直近の株価暴落で「あぁ〜、やっぱり投資なんかに手を出すんじゃなかった」と嘆いているじゃないでしょうか?
このブログで投資についてアレコレいうことは控えますが、「世紀の大暴落」だとか「ブラックマンデーに次ぐ暴落」などといったタイトルの煽り記事に惑わされず、ご自身の投資方針を崩さず粛々と市場に居続けることが将来の資産形成には必要だと言うことだけはお伝えしておきます。
価値変動する資産を遺す場合は慎重に
さて、直近の市場の動きはともかく、資産として投資信託を遺す場合の遺言書作成時も、この「価額が変動する」という点は考慮しておきましょう。
たとえば、遺言書作成の時点での基準価額が500万円であった場合、その金額を前提に各相続人への割合を考えて遺言したとしても、実際に相続が開始された時点でその価額が「1,000万円になっていた」あるいは「250万円になっていた」ということもあり得ます。
この価額差が顕著だと遺留分侵害請求などといった話になってしまうことも考えられます。せっかく相続がスムーズに行われることを願って作成する遺言書であれば、この点を十分に考慮して各相続人の割合を考えましょう。
また、投資信託に限らず証券会社にある資産は預貯金のように直接現金を相続することはできません。
個別株も投資信託も、売却して初めて現金になりますが被相続人(亡くなられた方)名義の投資信託を名義人以外の第三者(相続人も含め)が売却することはできません。(他人の物を勝手に売ることはできませんよね)
そのため、投資信託というかたちのままで一旦相続し、相続人が自分の投資信託として売却することになります。実務上、相続人名義の口座を新たに作成し、そこへ相続した投資信託がそのまま移管されるということになりますので、あとは相続人がすぐに売却しても良いしそのまま持ち続けても良いということです。
ここで問題となるのが、相続人が証券会社での取引経験がない場合、この「売却する」というステップに不安を感じまごつくケースが少なくないことです。
更に、手数料の安さなどから実店舗を持たないネット証券を利用している方も多いと思いますが、相続人がネットに不慣れだと不安はより大きくなります。
こうした点も踏まえて、投資信託はネットに強い子どもたちに遺し、預貯金は両親や配偶者に遺すなどといった配慮も必要かもしれません。
投資信託は不動産や車、貴金属などの動産に比べ換価性の高い金融資産なので、相続人の間でも現金と同様にシビアに損得を考える傾向にありますので、投資信託が資産の大部分で、ボラティリティの高い商品の場合は遺言書への記載方法等も含め一度専門家に相談されることをお勧めします。