内容証明郵便とは

「①いつ、②誰が、③誰に、④どのような内容の文章」が差し出されたかを「日本郵便株式会社」が証明してくれる郵便物のことです。

通常の郵便物では、「届いていない」「受け取っていない」といった問題が起こることがあります。このような問題を回避するために「書留郵便」を利用することが考えられますが、この場合でも「たしかに受け取ったけど、そんなことは書いてなかった」と言われてしまえばそれまでということになります。

内容証明郵便（配達証明付き）を利用することで、こうした問題を回避することができます。

ただし、日本郵便株式会社が”証明”するのは、あくまで内容文書の存在であって、文書の内容が真実であるということを証明するものではないという点は理解しておく必要があります。

例えば、AさんがBさんへ売掛金請求の内容証明を配達証明付きで出した場合に”証明”されるのは

1. ○月✕日
2. Aさんが
3. Bさんへ
4. 売掛金の請求をした

ということだけで、Aさんに売掛金があることや、その金額などといった文章の内容まで証明するわけではないということです。
なので、Bさんが「その支払は既に払っているはずだ」と主張した場合、Aさんは「内容証明を出して、それを受け取っているのだから、今更そのようなことは認められない」とは言えないということです。

Aさんが売掛金の請求をしたという事実と、確かにAさんに売掛金債権が存在するということは別の話ということです。

内容証明を利用する意味（メリット）

内容証明の利用が効果的なケース

内容証明のメリットを活かした代表的なもとして、以下のようなケースがあります。

契約解除

高額な商品や不要な商品を購入してしまったが解約したいといった場合、クーリングオフという制度を利用することができる場合があります。

クーリングオフをするのに必ずしも内容証明郵便を送る必要はありませんが、こちらの意志を明確に示し、後々の証拠とするためにも内容証明郵便を利用する方が確実です。

内容証明という証拠力のある文書で通知することで、通知後に、契約解除を思いとどまらせようという悪質なアプローチを回避する効果も期待できます。

未払金の請求

売掛金や賃料、毎月の養育費などの未払いは、電話での連絡が取れなかったり、通常の郵便物を送っても無視されてしまうことも多く、相手側に放置するクセがついてしまっているケースがあります。このような場合には、内容証明郵便のメリットを活かして厳しい態度を示すことが有効です。

内容証明郵便は通信手段として日常的に使用されるものではないので、郵便物自体に”特別感”があり、差出人の強い意志を伝えることができ、行動を起こすキッカケをつくることが期待できます。

慰謝料や損害賠償の請求

慰謝料や損害賠償に関して、お互いに和解し約束を取り交わしたにも関わらず、約束の日までに支払いが行われないといったケースにおいては、そのまま未払いの状態を放置してしまうと、新たな条件や希望を申し出られたりして、話し合いが振り出しに戻って解決が長期化してしまうおそれがあります。

このような場合においても、内容証明郵便のメリットを活かして厳しい態度を示すことが有効です。

内容証明を利用する上で考慮すべきこと

強い意志を示すとともに、証拠力を備えることができる内容証明郵便ですが、それだけに、受け取った側からすると「そこまでするか…」「これはマズイ…」といった圧力を感じることになります。

このような感情は、行動を促すキッカケとして有効に働く一方、敵対的な感情を持たれる可能性もあります。

相手の状況や事情を無視して、「なにがなんでも…」と、一切の猶予も与えずこちらの言い分だけを主張すると、かえって話がこじれてしまう可能性も考えられます。

また、証拠力は必ずしもこちらに有利になるとは限りません。内容次第では脅迫や恐喝とられかねませんし、相手側にとって有利となる記載があるかもしれません。

一度出したら無かったことにすることはできませんので、作成時は感情的にならず冷静に事実を整理してから作成するようにしましょう。

内容証明の利用方法

• 内容証明郵便を利用するには、指定された郵便局窓口へ直接持参する方法と、インターネットを利用した『ｅ内容証明』の２通りの方法があります。
• 内容証明は扱っている郵便局が指定されているので、全国全ての郵便局窓口で差し出せるわけではありませんので、差し出す予定の郵便局で扱っているかどうかを確認してからでかけましょう。
  ※「内容証明扱い窓口一覧」などを掲載している個人や企業のホームページもありますが、必ずしも最新の情報とは言えないものが多いので、直接窓口へ電話して確認するか日本郵便の公式ホームページで確認するようにしましょう。
• インターネットを利用した『ｅ内容証明』は、あらかじめ利用登録（無料です）したうえで、専用サイト（Web郵便／ｅ内容証明）からワード形式で作成したファイルをアップロードするだけで利用することができます。
• 紙媒体で作成した文書を窓口へ持参する場合は、１）差出人へ送付する分、２）自分の控、３）郵便居の控と、全部で３通用意する必要があります。（コピーで可）
• 使用する用紙は特に決まりはないので、市販の内容証明用紙以外の普通の便箋等でもかまいませんが、控えとなる謄本には文字数等細かなルールが定められているので日本郵便のこちらのページで確認してから作成するようにしてください。

弊所の『内容証明作成サポート』について

内容証明郵便は、上手に活用すればメリットの多い通知方法ですが、「内容証明を利用する上で考慮すべきこと」にも記載した通り、使うタイミングや内容次第では、効果が得られないどころか逆効果となってしまうこともあり得ます。

尚、相手側がお客様の主張を否定している、または要求に応じない意志を表明しているなど、紛争性のある場合で裁判等の法的対応を前提としている場合には、内容証明の発送も含め当初から弁護士へ依頼することをご検討ください。

内容証明に関するQ&A